ちやう》から特別《とくべつ》の處置《しよち》をせられるので自然《しぜん》志村《しむら》は自分《じぶん》の競爭者《きやうさうしや》となつて居《ゐ》た。
 然《しか》るに全校《ぜんかう》の人氣《にんき》、校長《かうちやう》教員《けうゐん》を始《はじ》め何百《なんびやく》の生徒《せいと》の人氣《にんき》は、温順《おとな》しい志村《しむら》に傾《かたむ》いて居《ゐ》る、志村《しむら》は色《いろ》の白《しろ》い柔和《にうわ》な、女《をんな》にして見《み》たいやうな少年《せうねん》、自分《じぶん》は美少年《びせうねん》ではあつたが、亂暴《らんばう》な傲慢《がうまん》な、喧嘩好《けんくわず》きの少年《せうねん》、おまけに何時《いつ》も級《くらす》の一|番《ばん》を占《し》めて居《ゐ》て、試驗《しけん》の時《とき》は必《かな》らず最優等《さいゝうとう》の成績《せいせき》を得《う》る處《ところ》から教員《けうゐん》は自分《じぶん》の高慢《かうまん》が癪《しやく》に觸《さは》り、生徒《せいと》は自分《じぶん》の壓制《あつせい》が癪《しやく》に觸《さは》り、自分《じぶん》にはどうしても人氣《にんき》が薄《う
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