るが如く、春秋の末期から戰國時代にかけて、諸侯の數の減少すると反比例に、郡縣の數は増加して居るが、始皇帝は全天下を郡縣にしたのである。即ち天下を三十六郡に分ち、各郡に守・尉・監を置いた。守は文治を、尉は兵事を掌り、監はその監察をする。郡の下には更に縣を置き、令が之を治むるのである。これら郡縣の官吏は、皆天子の代理として民に臨み、その進退任免は一に皇帝の命令に由るのであるから、君權頗る強大となり、一統の政治も亦、完全に行はれる譯である。『史記』に群臣の言を載せて、
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昔者五帝、地方千里。其外侯服・夷服。諸侯或朝、或否。天子不[#レ]能[#レ]制。今陛下(中略)平[#二]定天下[#一]。海内爲[#二]郡縣[#一]。法令由[#二]一統[#一]。自[#二]上古[#一]以來。未[#二]曾有[#一]。
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とあるのは、必ずしも誇張の言ではない。
 〔劃一の制〕 夏・殷・周三代の間、諸侯は各※[#二の字点、1−2−22]その國に便宜の政を行ひ、天下の制度は區々として、頗る劃一を缺いて居つた。尤も君權の擴張した周時代すら、夏の後の杞、殷の後の宋は、各※[#二
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