叔敖弗[#レ]欲。曰。……戰而不[#レ]捷。參之肉其足[#レ]食乎。參曰。……不[#レ]捷。參之肉將[#レ]在[#二]晉軍[#一]可[#レ]得[#レ]食乎。
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と記載してある。『戰國策』の中山策の條を見ると、中山の君がその臣下に外國に内通する噂ある者に對して、吾食[#二]其肉[#一]。不[#二]以分[#一レ]人と申して居る。此の如き不忠なる者には殺戮を加へ、その肉は自分一人にて飽食するといふことで、惡むこと甚しき意味を述べたものであらう。齊人魯仲連が邯鄲城内で、趙をして秦を尊んで帝を稱せしむべく運動中の、梁の將軍新垣衍に面會して、その運動の不可なる所以を説き、「吾將[#レ]使[#三]秦王。烹[#二]醢梁王[#一]」と申して居る(『史記』卷八十三、魯仲連傳)。秦の帝となり天下を統一した曉には、趙や梁(魏)の國王の生殺の權は、秦王の掌握に歸すといふ意味である。此等の記事を以て、當時の支那人が人肉を食用した、直接の證據に供することは、或は多少早計かも知れぬ。併し此の如き食[#レ]肉とか醢[#レ]肉とかいふ言顯法の慣用さるることは、その根柢に、人肉食用の事實の存在を前提
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