{りっとう」、201−17]刀手はその斬り首より噴出する鮮血に饅頭を漬し、血饅頭と名づけて市民に販賣したといふ(Peking and the Pekingese. Vol. II, pp. 243−244)。又長髮賊の亂中に、上海在住の外國商館に雇はれて居つた支那人の召使は、自己の膽力を増進する目的で、所刑された賊徒の心臟を食用したといふ(Balfour; Cyclopaedia of India. Vol. I, p. 570)。この罪人の生血、生膽等を強壯劑として珍重することに關して、支那在住の西洋人の報告も尠からず傳つて居るが(Yule and Cordier; Marco Polo. Vol. I, p. 312)、茲には引用せぬ。
 罪人の心肝を使用するのは、まだよい。支那では療病の目的で、他人の生命を斷ち、その肉なりその肝なりを採取する兇行が、古來可なり行はれて居る。已に元代無名氏の『鬼董』(知不足齋叢書』本)卷十二に、左の如き記事が見當る。
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嘉定戊寅(西暦一二一八)冬。廣西諸司。奏[#二]知欽州林千之食[#レ]人事[#一]。始千之得[#二]末疾[#一]。有[#二]道人[#一]。教以[#三]童男女肉。強[#二]人筋骨[#一]。遂捕[#二]境内男女十二三歳[#一]。※[#「月+昔」、第3水準1−90−47]而食[#レ]之。謂[#二]之地※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]地鴨[#一]。其家小婢妾被[#レ]食甚衆。又以[#二]厚賄[#一]使[#レ]卒。掠[#二]人虚市間[#一]。民稍知[#レ]之。皆深閉不[#二]敢出[#一]。卒無[#二]以應[#一][#レ]命。乃走[#二]其鄰横州[#一]。伏[#二]莽中[#一]掠[#二]過者[#一]。横州民呼爲[#二]紅衣人[#一]。意[#二]其盜[#一]也。告[#レ]州捕得。卒言[#二]其情[#一]。監司上[#二]諸朝[#一]。既而獄久不[#レ]決。又使[#下]大理評事孫※[#「さんずい+經のつくり」、第3水準1−86−75]。往[#二]全州[#一]置[#レ]獄勘[#上レ]之。還延歳餘。千之竟從[#二]輕典[#一]。僅追毀除[#レ]籍。配[#二]吉陽牢城[#一]而已。既而言者論[#二]※[#「さんずい+經のつくり」、第3水準1−86−75]罪[#一]。※[#「さんずい+經のつくり」、第3水準
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