に孔明に對しては、一度もかかる惡評が立たなかつた。かかる場合に處して、完全に臣節を盡し得た者は、支那では古今殆ど孔明一人と申してもよい位である。之が孔明の至誠忠義の人たる結果に外ならぬ。
(※[#ローマ数字2、1−13−22])公平無私
『三國志』の著者陳壽は、孔明の政治振に就いて、次の如く評して居る。
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諸葛亮之爲[#二]相國[#一]也。撫[#二]百姓[#一]示[#二]儀軌[#一]。開[#二]誠心[#一]布[#二]公道[#一]。盡[#レ]忠益[#レ]時者。雖[#レ]讐必賞。犯[#レ]法怠慢者。雖[#レ]親必罰。……善無[#二]微而不[#一レ]賞。惡無[#二]纖而不[#一レ]貶。……刑政雖[#レ]峻、而無[#二]怨者[#一]。以[#二]其用[#レ]心平、而勸戒明[#一]也。
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この陳壽はもと蜀の人で、その父の時代から、種々の事情で、諸葛一家に對して、餘り好い感情をもたぬ筈の人であるから、寧ろ孔明を實際以上に貶しても、實際以上に褒めることのない人であるが、その陳壽の評にして右の如くである。
孔明は必罰主義で隨分人を罰したが、決してそれ
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