だハンガリー人が村に歸つたものは決して殺しはしないといふ布令を出しましたから、ハンガリー人は本當かと思つて歸つて來ると、貴樣達は寶が地面一杯にあるのに收入《とりいれ》ぬといふは馬鹿なことなり、蒙古人は決して掠奪せぬから刈入れをせよといふから、ハンガリー人は喜んで刈入れをしたが、刈入れて仕舞つた時分に皆を集めて殺して、それから收穫せし穀物を取つたといふことがあります。それから愈※[#二の字点、1−2−22]城が陷りました後には其處の住民の人數を調べるといふ口實の下で、必ず住民一同を郊外へ出す、武器は無論のこと匙一本でも持たさない、殆ど空手で郊外へ列ばす。さうして其後へ蒙古兵が入つて七日なり十日なりの間掠奪する。皆外へ出してあるから一人も抵抗する者はありませぬ。それから一切の掠奪品を分捕品係り長の所へ持つて行くと、分捕局で計算して前に申したやうに按分比例に依て分つ(笑聲起る)。愈※[#二の字点、1−2−22]分捕りが濟みますると住民は城へ歸ることを許しますけれども、歸つた所で殆んど家だけがあるばかりで家財は何にも無くなつて仕舞つて居る。分捕りが濟んだときには住民の歸ることを許しますが、併し
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