。愈※[#二の字点、1−2−22]石がなければ木の丸太を水へ漬けて置いて泥などで重くして彈くです。かくして城の壁を破つてそれから前に言ひました石嚢へ砂や小石を入れて城の濠を埋めて、大抵城の濠が埋つた時分に※[#「石+駮」、第3水準1−89−16]に依つて城の壁が崩れた所へ突進するです。もしも猶ほ壁が破れなければ、前に言つた梯子を用ゐることもあるし、又は鍵繩で登ることもあります。それでも往かぬと前に言つた石油を器へ入れて火を點けて敵の中へ投込みます。それで敵を狼狽さして其間に乘じて突進するのであります。さて愈※[#二の字点、1−2−22]さういふことで敵の城を陷れたときは、先づ第一其城へ楯籠つた中から美術家と職工――大工とか左官――其美術家と職工だけは先づ救出します。蒙古人は美術家と職工を非常に大切に致しますから外のものは皆殺してもこれだけは助けます。それは助けて矢張り分捕品として皆に分けて遣る。貴樣の所には美術家が七人大工が五人といふ風に分けて遣る。天子の所有になるのは蒙古へやつて仕舞ひます。それから其次には身體の屈竟な戰爭にも使へるし總ての工事に使へるといふやうな若い奴を引張り出して
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