く。それからして愈※[#二の字点、1−2−22]先方と戰爭をする時分には、僞つて逃げて伏兵に陷らしめるのが蒙古人慣用の手段であります。一番に逃げる、先方が追駈けて來るのを伏兵で陷れる。敵が苦しき經驗を嘗めて後には蒙古人が逃げても追駈けるなといふことになりますると、蒙古人は成るたけ先方を怒らせ、さうして其城兵をおびき出す工夫をする。併しどうしても先方がこの計略に乘らずして、城に皆楯籠つて居るときには愈※[#二の字点、1−2−22]前に申した※[#「石+駮」、第3水準1−89−16]を使つて石を投るです。平地から投つても城の壁が高いから旨く往かぬ故に、大抵城と同じ高さの築山を拵へます。其上へ※[#「石+駮」、第3水準1−89−16]を置いて、さうして城の中へ石を投込む。百貫位の石を投《はふ》ります。頭の上から百貫位の石が落て來ると隨分困る(笑聲起る)。四人位掛らなければ動かせない石を投るです。此石を投るのは城中の兵士を損める目的よりも城の壁を破壞するのが目的であります。けれども石がさう何處にでもある譯ではありませぬから、石がなければ其地方の墓の石とか、挽臼とかいふ物を引張り出して來たりする
前へ
次へ
全40ページ中31ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
桑原 隲蔵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング