田舍の新春
横瀬夜雨

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)字《あざ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「「滔」の「さんずい」に代えて「しょくへん」」、第4水準2−92−68]

/\:二倍の踊り字(「く」を縱に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)かり/\
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 田舍の正月は今でも舊だから都會の正月より一月以上後れる。田舍だけに都會人の知らない面白い正月行事があるのだが、年と共に頽れてゆくのもあるから、その三四を抄録してみやう。

        三ヶ日の珍風習

 舊正月の三日間、餅を搗いても※[#「「滔」の「さんずい」に代えて「しょくへん」」、第4水準2−92−68]をつくらぬ家がある。いかなる理由であるか明瞭ではないけれど、その三日間餅を納豆や鹽鮭で喰べ、四日目に至つてはじめて※[#「「滔」の「さんずい」に代えて「しょくへん」」、第4水準2−92−68]をつくる。所謂「家風」であるが,おそらく昔の貧困時代をしのぶ、年のはじめの節儉の覺悟でも
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