ま》の子よ
額《ひたひ》にかゝる前髮の
みだれそめしが戀ならば
京の紅《べに》とや唇に
さゝねど人を戀しけむ
秋雨そゝぐ※[#「舟+令」、第4水準2−85−68]《ふなまど》に
彈《ひ》くべき琴も持たねども
三重卷く帶の端《はし》長く
けぶれる髮の美しう
* *
* *
めぐるに早き春の夜の
月は東に歸りけり
八重の潮路のたゞ白く
秋は光の寒きかな
手繰《たぐ》りし綱に枕して
ひそかに衿《えり》をぬらすとも
春かへり來る中空に
夢のおもかげ殘るらん
終に別るゝ殘懷《なごり》なき
星合《ほしあひ》の空にはろ/″\と
あこがれ渡る釣人《つりびと》の
涙は頬《ほゝ》に流るれど
※[#「爿+可」、181−下−19]※[#「爿+戈」、第4水準2−12−83]《かし》振り立て纜《もや》ひせし
あまのはしぶね音づれて
燎火《かゞりび》白む曉の
鐘こそかすかに響きたれ
水より淡き
月《しまぼし》の
影は仄《ほの》かに
殘りたり
輪廓《さゝべり》燃ゆる
紫の
八雲《やくも》棚引く
和田の原
朝日《あさひ》を洗ふ
浪の穗に
輝く光
くづれては
空を貫《
前へ
次へ
全52ページ中48ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
横瀬 夜雨 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング