萱野《かやの》の末にうそぶきて
君はとがみを飛ばしけむ
ぬすめる芋を野に燒いて
※[#「酉+僉」、第4水準2−90−43]《ゑぐ》きに吻《くち》を腫《は》らしては
七日の月の影踏んで
小篠の笛も鳴らしゝか
おもかげに見る
あげまきの
友と呼ばんは
うらみなり
世にはぐれたる
一人子の
君は悲しき
弟よ
さもあれ空の
雲すらも
やがては洞に
歸るもの
歸れ月波《つくば》の
ふところに
君ゆゑ泣かむ
人もあり
[#ここから3字下げ]
はとがみ、草の名、形通草の實に似たり、みのりて莢裂くれば中におびたゞしき有毛痩果あり、試みに之を吹けば、風に乘り森を越え林を過りて、漂々として終にゆくところを知らず
[#ここで字下げ終わり]
〜〜〜〜〜〜〜
征矢の光
『無弦弓』を讀む
鳥鳴き過ぐる
巖の上に
黄金の弓を
携へて
征矢の行方を
見送れば
光はそれか
入相の
西に聚まる
紫の
霞の底に
潛みては
白羽の影を
中天に
漂ふ雲の
縁《へり》に投げ
浪靜かなる
大和田の
八重の潮路に
煌めけば
沖
前へ
次へ
全52ページ中39ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
横瀬 夜雨 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング