った。
それほどやかましいのは、それほど、武器が大切であることを意味していた。
殊に小軍閥や、土匪は、武器なら人を殺しても、それを奪取した。武器ならいくら金を出しても、それを買い取った。そこで、土匪のうわ前をはねるのさえ、実は容易な業だった。
だから、売込の妨害をされないためだけにでも、五百やそこらは放り出すべきだ。
それを、下積みの膳立ては、すべて、彼――山崎がちゃんとこしらえてやったんじゃないか。それを内川はむくいようとしなかった。
山崎は、あんまり気長く放って置くと、自分の努力が時効にかゝっちまう、と気をもんだ。
しかし内川が、彼を蹴るなら蹴るで、彼は又、彼として、考えがあった。若し万が一、今度百や二百やの眼くされ金で胡麻化そうとするんなら、その時は、その時で、今後の商売を、全く、上ったりにして呉れるから。
山崎は、内川等がどんなことをやっているか、それを知っていた。そして、彼は、それをあげ[#「あげ」に傍点]てやろうと思えばあげ[#「あげ」に傍点]てやれるのだった。
彼は、自国人であるために、それを庇護していた。
それは、ある秋のことである。市街から離れた田舎
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