て、それを、計画し、空想するのが愉快だった。中津は、山崎が、すゞのことを云いだしたついでに、こころよげに、にこ/\しながら、自分の計画を打ちあけた。
「君は、一体いくつだね?」と、山崎はきいた。
「五十三さ。」
 別に、中津は不思議がらなかった。
「あの娘ッ子は、君の子供ぐらいの年恰好なんだよ。恐らく、君の三分の一しか年はとっていまい。」
「それがいゝんじゃないか。君には、俺れのこの気持が分らないんだ。あの、軟らかい、子供々々したところが、とてもたまらなくいゝんじゃないか。俺れゃ、この年になるまで、あんな娘は見たことがない。何と云っていゝか、……俺れの全存在を引きつけるような、とても、なんとも云えん気持なんだ。」
「いゝ年をして、生若い、紺絣の青年のようなことを云ってら!」
「そんな軽々しい問題じゃないよ。俺れゃ、君がどう云ったって、この決心は、やめられやせん。」
「ふふふッ、」山崎は冷笑した。「ちょっと、可愛いゝ娘ではあるが、……しかし、君なら、あの娘のおッ母アが丁度持って来いだ。あの婆さんと夫婦なら似合ってら。どうだい、あの親爺はヘロ中で領事館に叩ッこまれとるし、婆さんをひとつもの
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