置き、しかも国境にも、海にも山にも妨げられず、国際的に結びつき、発展して行く。――そのハリコフ会議の日本プロレタリア文学運動についての決議は、農民文学に関して「国内に大きな農民層を持つ日本にあっては、農民文学に対するプロレタリアートの影響を深化する運動が一層注意される必要がある。日本プロレタリア作家同盟の内部に農民文学研究会が特設されなければならぬ。しかし、いうまでもなく、それが、あくまでもプロレタリアートのヘゲモニーの下に置かれなければならぬことはもちろんである。」といっている。
農民の生活を題材として取扱う場合、プロレタリア文学は、どういう態度と立場を以て望むか、そして、どういう効果を所期しなければならないか、ということは、大体原則的には、理解されていた。それは、「土の芸術」とか「農村の文化」とか、農村を都市に対立させて、農民は、農民独自の力によって解放され得るが如く考えている無政府主義的な単農主義者等の立場とは、最初の出発からその方向を異にしていた。農民生活を題材としても、その文学のねらう、主要なポイントは、プロレタリア文学が所期するのと同じ方向に一致させようと、常に努力されて
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