戦争には、残虐や、獣的行為や、窮乏苦悩が伴うものであるが、それでも、有害で反動的な悪制度を撤廃するのに役立った戦争が歴史上にはあった。それらは、人類の発展に貢献したことから考えて是認さるべきである。で、プロレタリアートは、現在の戦争に対しても、それが、吾々を解放へ導くものであるか、或は、吾々をなお圧迫するものであるか、その歴史的特殊性を分析することが必要である。
フランス革命は、人類の歴史に新しい時代を開いた。それからパリ・コンミュンまでは、ブルジョア的進歩的な国民解放戦争があった。つまり、その戦争は、主として、封建的専制主義及び外国の支配拘束を取り除くことであった。それは進歩的戦争であった。又、イギリスに対して若し××が戦争を始めるとしたら、それは正当な、必要な戦争である。抑圧者、搾取者に対する、被圧迫階級の戦争には、吾々は同感せざるを得ない。そしてその勝利を希わざるを得ない。
二
現在、吾々の眼前に迫りつゝある戦争は、どういう性質のものであろうか。
こゝに、泥棒と泥棒が、その盗品を一方が少く、他方が多いのを理由に又、奪い合いしたらどうであろう。如何に少い方が大
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