かれたものを相当拾い上げることが出来る。それらは、一般的に戦争に反対している。戦争は悲惨である。戦争は不愉快で、戦争のために、多数の人間が生命を落さなければならない。そこで、戦争に反対している。
プロレタリアートは、戦争に反対する、その反対の仕方に於て、一般的な態度はとらない。吾々は一般的に、戦争に反対するのではない。或る場合には、悲惨をも、残酷をも、人類の進歩のために肯定するプロレタリアートが徹底的にどこまでも反対するのは、帝国主義××である。即ち、××的、××的戦争に反対するのである。
二
ブルジョアジーの戦争反対文学は、多く、個人主義的、或は、人道主義的根拠から出発している。そこに描かれているものは、個人の苦痛、数多の犠牲、戦争の悲惨、それから、是等に反対する個人の気持や、人道的精神等である。
手近かな例を二三挙げてみる。
田山花袋の「一兵卒」は、日露戦争に、満洲で脚気のために入院した兵卒が、病院の不潔、不衛生粗食に堪えかねて、少しよくなったのを機会に、病院を出て、自分の所属部隊のあとを追うて行く。重い脚を引きずって、銃や背嚢を持って終日歩き、ついに、兵站
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