人労働者たちの反抗[#「反抗」に白丸傍点]を鎮圧するために使われているのだ。台湾に於てもそうである。台湾の蕃人に対しては、日本[#「日本」に白丸傍点]帝国主義のやり口は一層ひどかったのだ。強制的に蕃人の作ったものを徴発したのだ。潭水湖《たんすいこ》の電気事業工事のために、一日十五六時間働かして僅かに七銭か八銭しか賃銀を与えず、蕃人に労働を強要したのだ。そしてその電気事業のために、蕃人の家屋や耕作地を没収しようとしたのだ。蕃人の生活は極端に脅かされた。そこで、 蕃人たちは昨年十月立ち上った。すると、日本[#「日本」に白丸傍点]帝国主義は軍隊をさしむけ、飛行機、山砲、照明砲、爆弾等の精鋭な武器で蕃人たちを殺戮しよう[#「殺戮しよう」に白丸傍点]とした。その蕃人征伐に使われたのも兵士たちだ。
 兵士たちは、こういう植民地の労働者を殺戮するために使われ、植民地を帝国主義ブルジョアジーに最も都合がいいように確保するために使われ、(そのために負傷する者もある。病気にかゝる者もある。)その結果はどうなるか?
 その結果は、帝国主義ブルジョアジーが、一日だけ余命を長く保って、労働者農民の頭を一日だけより長く抑えつけているということになるのだ。満洲や台湾の苦力《クーリー》や蕃人を動物を使うように酷使して、しこたま儲けてきた金で、資本家は、ダラ幹や、社会民主主義者どもにおこぼれ[#「おこぼれ」に傍点]をやるだろう。しかし、革命[#「革命」に白丸傍点]的プロレタリアートに対しては、徹底的に弾圧の手をゆるめやしないのだ。
 なお、そればかりではない。第三期に這入《はい》って帝国主義戦争[#「戦争」に白丸傍点]が間近かに切迫して来るに従って、ブルジョアジーは入営する兵士たちに対してばかりでなく、全国民を、青年訓練所や、国家総動員計画や、その他あらゆる手段をつくして軍国主義化しようと狂奔している。そして、それはまた、労働者農民の祖国サヴェート同盟に対[#「対」に白丸傍点]する戦争[#「戦争」に白丸傍点]の準備[#「準備」に白丸傍点]ともなっているのだ。
 こういう時にあたって、全国から十二万の働いている青年たちが、初年兵として兵営の中へ吸いこまれて行く。ブルジョアジーは労働者や、労働者や農民の出身である兵士たちを完全に彼等の道具に使おうとして、軍国主義化しようとしている。
 だが青年たちは軍隊
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