の中へ這入って行くことを拒んではならない。軍隊の中に這入って、銃の持ち方や、射撃のし方を学ばなければならない。機関銃の使い方も、野砲の使い方も、重砲の使い方も、また飛行機の操縦法も、戦車の操縦法も学ばなければならない。そして、その武器を、ストライキをやった同志や親爺や兄弟達にさしむけるのではなくブルジョアジー[#「ブルジョアジー」に白丸傍点]にさしむけ[#「さしむけ」に白丸傍点]てやるのだ。銃や、機関銃や、大砲に対抗するのに、弓や竹槍や、つぶて[#「つぶて」に傍点]ではかなわない、プロレタリアは、ブルジョアに負けない優秀[#「優秀」に白丸傍点]な武器[#「武器」に白丸傍点]を自分のものとしなければならない。レーニンは次のように云っている。「武器[#「武器」に白丸傍点]を取扱い武器[#「武器」に白丸傍点]を所有することを学ぼうと努力しない被抑圧階級はただ奴隷的待遇に甘んじていなければならぬであろう。吾々は、ブルジョア的平和主義者や、日和見主義者に変ることなく、吾々が階級社会に住んでいること、階級闘争と支配階級の権力の打倒[#「打倒」に白丸傍点]との外には、それからの如何なる遁《のが》れ路《みち》もないし、またあり得ないことを忘れてはならぬ。吾々のスローガンはこうでなければならぬ。即ち、ブルジョアジーを打倒[#「打倒」に白丸傍点]し、収奪[#「収奪」に白丸傍点]し、武装解除するために、プロレタリアを武装[#「武装」に白丸傍点]させること。プロレタリアートは、たゞブルジョアジーを武装[#「武装」に白丸傍点]解除した後にのみ、その世界史的見地に叛くことなく、あらゆる武器を塵芥《じんかい》の山に投げ棄てることが出来る。そしてプロレタリアートは、また疑いもなく、このことを成遂《なしと》げるであろう。」と。
新しく入営する青年たちのなかには、こういうことがよく分かっている人々もあるだろう。だが、自分が国家のために入営するのだと思っている者も、少くはないだろう。又徴兵に取られて馬鹿らしいが、仕様がない位いにしか思っていない人々もあるだろう。
自分たちが、誰れのために使われているか? そして、その中へ這入って何をしなければならないか? それを知っている青年達は中隊の班内で寝台を並べてねる同年兵たちに、そのことを噛みくだいて分るように語らねばならぬ、武器の使用方法を習って、その武器
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