かった。
三日後、十一月十七日、日本軍は、全線に亘って、いっせいに前進を開始した。
彼等の属している中隊も前進した。そしてまもなく、前哨線の小屋のあるところに到達した。中隊長は、前哨に送った部下の偵察隊が、××の歩哨と、馴れ/\しく話し合い、飯盒で焚いた飯を分け、相手から、粟の饅頭を貰い、全く、仲間となってしまっているのを発見して、真紅になった。
「何をしているか!」
中隊長は、いきなり一喝した。
「そいつはどこの人間だ! ぶち××ちまえ! 掴まえろ!」
命令に対して、怠慢をつぐなうため、早速銃をとって立ちあがるかと思いの外、彼の部下の顔には、××な、苦々しい感情があり/\と現れた。
「うて、うち×せ!」
だが、その時、銃を取った大西上等兵と浜田一等兵は、安全装置を戻すと、直ちに、×××××××××をねらって引鉄《ひきがね》を引いた。
底本:「黒島傳二全集 第二巻」筑摩書房
1970(昭和45)年5月30日第1刷発行
※本作品中には、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加えて、作者の抱えた限界を読者自身が認識することの意義を考慮し、底本のままとしました。
※間違いなどの指摘はinfo@aozora.gr.jpに加えて、yohno@ecis.nagoya−u.ac.jpまでおねがいします。
入力:大野裕
校正:原田頌子
2001年9月3日公開
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