鍬と鎌の五月
黒島傳治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)盥《たらい》廻しに
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)慶応|贔屓《びいき》で、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)むほん[#「むほん」に傍点]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)のこ/\
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農民の五月祭を書けという話である。
ところが、僕は、まだ、それを見たことがない。昨年、山陰地方で行われたという、××君の手紙である。それが、どういう風だったか、僕はよく知らない。
そこで困った。
全然知らんことや、無かったことは、書くにも書きようがない。
本当らしく、空想で、でっち上げたところで、そんなものには三文の値打ちも有りゃしない。
で、以下は、労働祭のことではない。五月一日に農村であったことである。
香川県は、全国で最も弾圧のひどい土地だ。第一回の普選に大山さんが立候補した。その時、強力だった農民組合が叩きつぶされた。そのまゝとなっている。
なんにもしない、人間を、一ツの警察から、次の警察へ、次の
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