、昨日も集っていた。
そして、今日もいる。
三日たった。しかし、烏は、数と、騒々しさと、陰欝さとを増して来るばかりだった。
或る日、村の警衛に出ていた兵士は、露西亜《ロシア》の百姓が、銃のさきに背嚢を引っかけて、肩にかついで帰って来るのに出会した。銃も背嚢も日本のものだ。
「おい、待て! それゃ、どっから、かっぱらって来たんだ?」
「あっちだよ。」髯《ひげ》もじゃの百姓は、大きな手をあげて、烏が群がっている曠野を指さした。
「あっちに落ちとったんだ。」
「うそ云え!」
「あっちだ。あっちの雪の中に沢山落ちとるんだ。……兵タイも沢山死んどるだ。」
「うそ云え!」兵士は、百姓の頬をぴしゃりとやった。「一寸来い。中隊まで来い!」
日本の兵士が雪に埋れていることが明かになった。背嚢の中についていた記号は、それが、松木と武石の中隊のものであることを物語った。
翌日中隊は、早朝から、烏が渦巻いている空の下へ出かけて行った。烏は、既に、浅猿《あさま》しくも、雪の上に群がって、貪慾《どんよく》な嘴《くちばし》で、そこをかきさがしつついていた。
兵士達が行くと、烏は、かあかあ鳴き叫び、雲のよ
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