せん。それから靴はぬがせるんですよ。」
「もうぬいでるの。」
コーリカはいつまでもぐづついてゐて、中々奥へこようとしませんでした。
「おれの見たことのないものだつて? なんだらうな?」
「森のおばけだよ。」とコーリヤがいひました。
「なんだ。」
「なんでもいゝからおいでよ。」
「よし、いく。」
リカは、やつとコーリヤのあとについていきました。コーリヤが食堂のまへをとほるとき、リカはちよつと後しざりをしました。奥さまのすがたが、ちらりとみえたからです。
「いゝんだよ。さ、いゝんだよ。」
コーリヤたちはリカを引つぱつて、蓄音器の前につれてきました。
「ほら、この箱ね、この箱の中に魔法使がゐるんだよ。」
「うそう。」
「うそだつて?」
コーリヤはかういひながら急に蓄音器をしかけました。リカは、びつくりしました。
「ほう、こんちきしよう。うたをうたひやァがる。」
リカは、音のするその箱をこはさうにのぞきこみました。子どもたちは、みんなで、きやつきやと笑ひました。
四
あんまり笑ひさわぐので、お父さんが出てきました。そして、お父さんも笑ひました。それをきいて、お母さんも
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