ら》ったり、遊《あそ》んだり、何か飲んだり、食べたりしている。おや、あの女の子が、男の子とおどりだしたぞ。なんてかわいい子だろう。ああ、音楽《おんがく》も、ガラスごしに聞えてくる。……
 少年は、あきれて、じっと見つめているうちに、思わずにこにこしだしたが、そのうちにもう、足の指《ゆび》までいたくなってきた。手の指は、まっかになって、まげることもできないし、ちょっと動かしても、ずきんといたい。
 そこで少年は、自分の指が、そんなにいたいほどかじかんでいるのに気がついて、おいおい泣《な》きながら、さきへかけだした。すると、またそこにも、ガラスの向こうに部屋《へや》があって、やっぱりクリスマス・ツリーが立っている。プラムのはいったのや、赤いのや、黄《き》いろいのや、いろんなお菓子《かし》が並《なら》んでいる。その前には、りっぱな奥《おく》さんが四人すわっていて、はいってくる人ごとに、お菓子をやっている。入口のドアは、たえまなしにあいて、おおぜいの人が往来《おうらい》からはいって行く。少年はこっそりそばへよって、いきなりドアをあけて、中へはいった。それを見つけたときの、おとなたちのさわぎよう
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