をふみしだく蹄鉄《ていてつ》が、敷石《しきいし》にあたって鳴《な》りわたる。みんな、おしあいへしあいのありさまだ。だが、何か食べたいなあ。ほんの切れっぱしでもいいんだがなあ。おまけに指《ゆび》さきまでが、急《きゅう》にいたくなってきた。おまわりさんがすれちがったが、気がつかないふりをして、そっぽを向いた。
おや、また往来《おうらい》だ。なんてまあ広い通りだろう。うかうかすると、ひきころされてしまうぞ。なにしろ、みんな夢中《むちゅう》で、わめいたり、走ったり、車をとばしたりしているからな。おまけにあかりの多いことといったら。どこを見ても、あかりだらけだ。だが、あれはなんだろう。やあ、なんて大きなガラスだ。ガラスの向こうは部屋《へや》になっていて、部屋の中には、天井《てんじょう》までとどきそうな木が立っている。ははあ、クリスマス・ツリーだな。そのクリスマス・ツリーには、あかりや、金紙《きんがみ》や、りんごが、どっさりつるさがっていて、そのまわりは、人形《にんぎょう》やおもちゃの馬が、ぎっしり並《なら》べてある。晴《は》れ着《ぎ》を着たきれいな子どもたちが、部屋じゅうをかけまわって、笑《わ
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