アとにならない今のうちに、お父さんがお亡くなりになれば、さっそくあなたがたにはめいめい四万ルーブルずつのお金が渡りますよ、旦那のあれほど憎んでいらっしゃるドミトリイ・フョードロヴィッチにでさへ、遺言状がこしらえてありませんから、分け前が手にはいるわけなんで……これはみんなドミトリイ・フョードロヴィッチにはよくわかっております」
 イワン・フョードロヴィッチの顔が妙にゆがんで、ぴくりと震えたようであった。彼は急に赤くなった。
「じゃ、なんだって貴様は」と、彼は突然スメルジャコフをさえぎった。「そんな事情があるのに、チェルマーシニャへ行けなどと僕にすすめるんだ? どういうつもりであんなことを言ったのだ? 僕が行ってしまったあとで、たいへんなことが起こるじゃないか」イワン・フョードロヴィッチはやっとの思いで息をついだ。
「全くおっしゃるとおりです」と、スメルジャコフは静かに分別くさい調子で、とはいえ、じっとイワンの顔色をうかがいながら言った。
「何がおっしゃるとおりなんだ?」と、かろうじておのれを押えながら、険しく眼を輝かしてイワン・フョードロヴィッチが問い返した。
「わたくしはあなたがお気
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