「たら、あれならけっして兄貴を入れやしないぞ」
「どんなことがあっても、旦那のお許しがない以上、あの合い図をグリゴリイ・ワシーリエヴィッチに知らせるなんていうわけにはまいりませんよ、それにグリゴリイ・ワシーリエヴィッチがお兄さんのおいでを聞きつけて、入れないようにするだろうとおっしゃいますけれど、あの人はなにしろ昨日からかげんが悪くて、明日マルファ・イグナーチエヴナが療治をすることになっておるのです、さきほどそんな相談をしていました、なんでもその療治はずいぶんおもしろいことをするのですよ、マルファ・イグナーチエヴナはある浸酒《しんしゅ》を知っていていつも絶やさぬようにしまっておりますが、何かの草から採った強いやつで、あの女《ひと》はその秘法を知っているのでございます、グリゴリイ・ワシーリエヴィッチは年に三度ほど中風《ちゅうぶう》かなんぞのように、腰が抜けてしまいそうなほど痛むのです、そんなときこの侵酒で療治します、なんでも年に三度くらいのものでございます、そのおりマルファ・イグナーチエヴナはこの侵酒で手拭いを濡《ぬ》らして、半時間ばかり病人の背中じゅうを、からからになって赤く腫《は》れ
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