」
「それに、そのときは屋根裏からおっこちたっていうじゃないか」
「屋根裏へは毎日上がりますからね、明日にもまた屋根裏からおっこちないものでもありませんよ、もし屋根裏でなければ、穴蔵へおっこちるかもしれません、穴蔵へ行く用事も毎日ございますからね」
イワン・フョードロヴィッチは長いあいだ、彼をじいっと見つめていた。
「何か小細工をしているな、ちゃんと見え透いてるぞ、第一おまえの言うことはどうもよくわからん」と低くはあったが、なんとなくおどしつけるような調子で彼は言った。「どうだおまえは明日から三日のあいだ、癲癇のまねでもするつもりじゃないのか? え、おい?」スメルジャコフはじっと地面を見つめたまま、またしても右足の爪先でこそこそ悪戯《いたずら》をしていたが、今度は右足を元の所へ引っこめて、その代わりに左足を前へ出してから、顔を上げると、にやりと一つ薄笑いをして、こう言った。
「もしわたくしが、それをやるとしましても、つまりそのまねごとをするとしましても、――それは経験のある人には別にむずかしいことではありませんからね――わたくしは自分の命を助けるためにやることですから、それに対して
前へ
次へ
全844ページ中805ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング