ウん、お父さん、お父さん!』と泣きわめいているが、しまいには、それもできないで、ぜいぜいいうようになる。時には、そういった鬼のような残酷な所業のために、事件が裁判ざたになることもある。すると弁護士が雇われる――ロシア人は弁護士のことを『弁護士はお雇いの良心だ』などと言っているが、この弁護士が自分の依頼者を弁護しようと思って、『これは通常ありがちの簡単な家庭的事件です。父親が自分の娘を折檻したまでの話じゃありませんか。こんなことが裁判ざたになるというのは、現代の恥辱であります』とわめきたてる。陪審員はそれに動かされて別室へ退き、やがて無罪の宣言が与えられる。民衆はその折檻者が無罪になったからといって、歓声をあげるという段取りでな。ちぇっ、僕がその場に居合わせなかったのは残念だよ! 僕がいたら、その冷酷漢の名誉を表彰するために奨励金支出の議案でも提出してやったんだのに!……実にすばらしいポンチ絵だよ。しかし、子供のことなら、僕の収集のなかにもっとおもしろいのがあるよ。僕はロシアの子供の話をうんとうんと集めてるんだぜ、アリョーシャ。五つになる小っちゃな女の子が両親に憎まれた話というのがある。
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