、あの人がドミトリイをちっとも愛していないで、かえって自分でこんなに苦しめている僕を愛しているということを自分で悟るためには、十五年、二十年の歳月を要するってことだ。ところが、ことによったら、あの人は今日のような経験をしても、永久にそれを悟ることができないかもしれんよ。でも、まあそのほうがいいさ。立ち上がって、そのまま永久に離れ去ってしまったわけだ。ときにあの人は今どうしてるね? 僕の帰ったあとでどうだったい?」
 アリョーシャはヒステリイの話をして、彼女は今でもまだ意識がはっきりしないで、うわごとを言っているだろうとまで付け足した。
「ホフラーコワが嘘をついたんじゃないか?」
「そうではないらしいんです」
「だって、調べてみなくちゃならないよ、ただ、ヒステリイで死んだものは、一人もないからね、ヒステリイというやつはあってもいいだろう。神様は好んで女にヒステリイをお授けになったのだ。僕はもう二度とあすこへは行かない。何も今さら顔を出すにも当たるまいからな」
「でも、兄さんはさっきあの人にこんなことを言ったでしょう、あの人はついぞ兄さんを愛したことがなかったって」
「あれはわざと言ったん
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