えした。
「ただね、自分の話したことをドミトリイ兄さんに言わないでくれって頼みましたっけ」と、アリョーシャは言い足した。
 イワンは苦い顔をして考えこんだ。
「兄さんはスメルジャコフのことで苦い顔をするんですか?」とアリョーシャが聞いた。
「ああ、やつのことで。しかし、あんなやつのこと、どうでもいい。僕はドミトリイには本当に会いたかったが、今はもうその必要もない……」と、イワンは進まぬ調子で言った。
「兄さんは本当にそんなに急に立つんですか?」
「ああ」
「じゃ、ドミトリイやお父さんはどうなるんです? あの騒ぎはどうかたがつくんでしょう?」と、アリョーシャは不安そうに言いだした。
「またおまえのお談義かい! そのことが僕になんの関係があるんだ? 僕がいったい、ドミトリイの番人だとでもいうのかい?」とイワンはいらいらした声で断ち切るように言ったが、不意に妙な苦笑を浮かべた。
「弟殺しについてカインが神様に答えたことばかえ? え、今おまえはそれを考えてるんだろう? しかし、どうとも勝手にしろだ。僕は全くあの人たちの番人をしているわけにはいかないよ。仕事がかたづいたから出かけようというのさ。
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