がねえ……」
「あなたにわたしがお知らせできる、たった一つのことはですね」と、何かしら考えついたようにスメルジャコフが不意に言いだした。
「わたしがここへ出入りするのは隣り同士の心安だてからです。別に出入りをして悪いわけもありませんからね。ところで、わたしは今日、夜の明けないうちにイワン・フョードロヴィッチのお使いで、湖水街《オーセルナヤ》のあの人の家へまいりましたが、手紙はなくてただ口上だけで、いっしょに食事がしたいから、広場の料理屋までぜひ来てくれとのことでした。わたしがまいりましたのは八時ごろでしたが、ドミトリイ・フョードロヴィッチは家にいらっしゃいませんでした。『ええ、いらっしたのですが、つい今しがたお出かけになりました』と宿の人たちが、このとおりの文句で言いましたが、どうやら打ち合わせでもしてあるような口ぶりでしたよ。もしかしたら、ちょうど今時分、その料理屋でイワン・フョードロヴィッチとさし向かいで坐っておいでかもしれませんよ。なぜって、イワン・フョードロヴィッチが昼飯にお帰りにならなかったもんですから、旦那は一時間ほど前ひとりで食事をすまして、居間に横になって休んでいらっし
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