が落ちですよ、マリヤさん」
「ほんとに、あなたも逃げ出しなさるの?」
しかるに、スメルジャコフは返事をするにも及ばぬというように、しばらく黙っていたが、やがてまたギターが鳴りだして、例の裏声が最後の一連を歌い始めた。
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どんなに骨が折れようと
遠くへ行って住みましょう
楽しい暮らしをしたいもの
花の都に暮らしたい
もうもう悲しむこともない
さらに悲しむこともない
さらに悲しむ気もないよ
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おりしも思いがけないことが起こった。アリョーシャがだしぬけにくさみをしたのである。ベンチの方の人声はぴたりとやんでしまった。アリョーシャは立ち上がって、その方へ歩み寄った。男ははたしてスメルジャコフであった。彼は晴れ着を着飾り、頭にはポマードをつけて、すこしく髪をうねらし、足にはエナメルの靴をはいていた。ギターはベンチの上に置いてあった。女はやはりこの家の娘マリヤ・コンドゥラーチェヴナで、二アルシンほどもある裳裾のついた淡い水色の着物を着ていた。まだ若くて、顔立ちのいい娘であるが、惜しいことには顔がすこし丸すぎるうえに、ひどい雀斑《そばかす》であっ
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