《レストラン》を開業することができます。なぜって、僕には特別な料理法の心得がありますが、それはモスクワでも外国人をのけたら誰ひとりできる者はいないんですからね。ところがドミトリイ・フョードロヴィッチが素寒貧《すかんぴん》でありながら、しかも、一流の伯爵の息子に決闘を申しこんだとすれば、その若様は、のこのこ出かけて行くに相違ないんですよ。いったい、あの男のどこが僕より偉いんでしょう? だって僕よりは、比べものにならんほどばかだからですよ。ほんとにどれだけなんの役にも立たないことに金を使い果たしたかわかったものじゃない」
「決闘って、ほんとにおもしろいものでしょうね」といきなりマリヤが言った。
「どうして」
「とても恐ろしくって、勇ましいからよ。とりわけ若い将校なんかが、どこかの女の人のためにピストルを持って射ちあうなんて、ほんとにたまらないわ。まるで絵のようね。ああ、もしも、娘にも見せてもらえるものだったら、わたしどんなにそれが見たいでしょう」
「それはね、自分のほうが狙う時はいいでしょうが、こっちの顔のまん中を狙われる時には、それこそひどく気持の悪い話でさあね。その場から逃げ出すくらい
前へ
次へ
全844ページ中667ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング