ぎていた。アリョーシャは一生懸命に、あの修道院で今やこの世を去ろうとしている『偉人』のもとへ駆けつけようとあせっていたのであるが、しかも一方、兄のドミトリイに会いたいという願いがすべてのものを征服したのであった。なぜなら、彼の心の中では、何かしら恐ろしい出来事が避けがたい力をもって、まさに起ころうとしているのだという信念が、刻一刻と大きくなってきたからである。それにしても、その出来事とはどんなことなのか、またこれから兄を捜し出して何を言おうとしているのか、おそらく自分にもはっきりとはわからなかったであろう。『たとい恩師が自分のいないうちに亡くなられても、自分の力で救えるかもしれないものを救いもせずに、見て見ぬふりをして家路を急いだという自責の念のために、一生苦しむことはなくて済むであろう。つまり、そうするのが、結局、恩師のことばに添うことになるのだ……』
彼の計画は兄のドミトリイの不意を襲うところにある――すなわち、昨日のように例の垣根を乗り越えて庭にはいりこみ、例の四阿《あずまや》にまず落ち着こうというのであった。『もしも兄がそこにいなかったとしたら、フォマにも家主のお婆さんにも言
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