かと思ったくらいですもの。とうとううちの馬車に乗せて帰してしまったうえに、突然あの手紙の一件でしょう。もっとも、それはまだ、これから一年半たってからのことでしょうが、すべて偉大で神聖なものの御名をもって誓いますから――今おかくれになろうとしている長老様のお名をもって誓いますから、どうかその手紙をわたしに見せてください、母親に見せてください! もしなんなら指でしっかりつまんでてください! わたし自分の手に取らないで読みますから」
「いいえ、見せません。あの人が許しても僕は見せません。僕、明日また来ますから、もしお望みなら、そのときいろんなことを御相談しましょう、しかし今日はこれで失礼します」
 アリョーシャは階段から往来へ駆け出してしまった。

   二 ギターをもてるスメルジャコフ

 事実、彼には余裕がなかったのである。さらに、リーズにまだいとまごいをしているとき、ふっと彼の脳裡には一つの考えがひらめいた。というのは、なんとかひとつうまい工夫をこらし、明らかに自分を避けているらしい兄のドミトリイを、是が非でも今すぐに捜し出したいという願いであった。時刻ももう早くはなく、午後の二時を過
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