めている様子が、はっきりわかった。
 アリョーシャはテーブルについて、話しを始めた。しかし、話し始めるやいなや、全くどぎまぎするのをやめてしまって、今度はリーズに心をひかれた。彼はまださっきの激しい、なみなみならぬ印象と、強い感情に支配されていたので、うまく詳しく物語ることができた。
 彼は昔も、モスクワで、リーズが子供のころ、リーズのところへ行くのが大好きで、どんなことが起こったとか、何を読んだとか、子供の時分の思い出などを話すのを好んだ。どうかすると、いっしょに空想して、まとまった小説を二人で作ったりしたものであるが、それはたいてい、愉快な、おかしな話であった。いま二人は、二年以前のモスクワ時代へ急に帰ったかのような感じがした。リーズは彼の話を聞いて、かなりに感激させられた。アリョーシャは暖かい気持で、イリューシャの風貌《ふうぼう》を物語ることができた。彼が、あの不幸な人がお金を踏みつけたときの場面を、あますところなく話し終わったとき、リーズは手を打って、やむにやまれぬ心のままにこう叫んだ。
「してみると、あなたはお金をやらなかったのね、そうして、その人をそのまま逃がしてしまったの
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