ね! まあ、あなたはその人の後を追っかけてつかまえるのが本当だったわ」
「いいえリーズさん、僕が追っかけなかったほうがよかったんですよ」と言って、アリョーシャは椅子《いす》から立ち上がり、心配そうに部屋の中を行き来した。
「どうしてですの、なぜそのほうがいいんですの? 今その人たち食べるものもなくって、死にかけているじゃないの?」
「そんなことはありませんよ。だって、その二百ルーブルは、やはりあの人たちの手にはいるんですからね。あの人は明日になれば全部受け取ってくれますよ。きっと明日は受け取ってくれますよ」物思いにふけって歩きながらアリョーシャは言いだした。「ねえ、リーズさん」ふと、彼は彼女の前に立ち止まって続けた。「僕はあのとき失敗をやったのです。でも、失敗したのが、かえって好都合になりましたよ」
「どんな失敗ですの? どうして好都合でしたの?。」
「それはねえ、あの人は臆病な、気の弱い人なんですからね。あの人は苦労もして、たいへん気だてのいい人なんです。僕は今どういうわけで急にあの人が憤慨して、金を踏みにじったのかしらんと、いろいろ考えてみましたけれど、それはつまり最後の一瞬まで、
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