け始めた。そうして、息を切らしながら、踏みつけるたびにわめき立てた。
「これがあなたの金ですよ! これがあなたの金です! これがあなたの金なんです! これはあなたの金なんだ!」
 不意に、ひょいと、彼は後ずさりして、アリョーシャの前に仁王立ちになった。その全体の様子は名状すべからざるプライドを示していた。
「あなたを使いによこした人に言ってやってください、糸瓜《へちま》は自分の名誉を売り物にしないって!」
 彼は両手を宙へさし上げながら、叫ぶのであった。それから急に身をかわしたかと思うとまっしぐらに駆け出した。が、まだ五足と行かないうちに、不意に彼はまたふり返って、アリョーシャに手を振って見せた。またもや五足と走らないうちに、もう一度ふり返ったが、これが最後であった。この時はゆがんだような笑いのかげもなく、顔は涙にぬれて震えていた。涙ぐんで、とぎれがちなむせび泣くような声で、彼は早口に叫んだ。
「あんな恥ずかしい思いをして、その報いに金なんかをもらったら、うちの子になんと言いわけができるのか!」こう言うなり、彼はまっしぐらに駆け出して、今度はもうふり返ろうともしなかった。アリョーシャは
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