、想像さえしたことがなかったのである。彼は紙幣を手にしながら、しばらくは、返事もできなかった。何かしら、まるで違った表情が彼の顔にちらついた。
「これをわたくしに、わたくしに、わたくしに! こんなたくさんなお金を、二百ルーブルという大金を! まあ! わたくしは、もう四年ばかりも、こんな大金を見たことがございませんよ、――まあ、これはこれは! それに、『妹から』とおっしゃるんでございますね、……それはいったい本当に、本当にでしょうか?」
「誓って申します、僕が今言ったことはみんな本当です!」とアリョーシャは叫んだ。二等大尉はちょっと顔が赤くなった。
「ところでね、あなた、お伺いしますけれど、もし、わたくしがこの金を受け取りましたら、卑屈な人間にならないでございましょうか? つまり、あなたの眼から御覧になって、わたくしが卑屈な人間にならないでございましょうか?」彼は両手を伸ばしてアリョーシャの体にさわりながら、ひとことひとこと急《せ》きこむのであった、「あなたは『妹の贈り物』だからと申して、わたしを説きつけなさいますけれど、心の中ではですね、肚の底では、わたくしを見下げた男だとお思いになる
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