日はかげり、いかにも秋らしい感じがしました。あたりはだんだん薄暗くなって、ぶらぶらしておりましても、なんだか二人とも気が滅入ってくるようでございました。『なあ、イリューシャ、どんな風にして旅立ちの用意をしたものかな』とわたくしが申しました。やはり昨日の一件に話をもっていこうと思いましたので。ところが、やはり黙っているじゃありませんか。気がついてみると、あれの指が私の掌の中で震えているのです。ああ、これはいかん、何か新しいことがあるんだな、と、わたしは思いました。そのうちに、ちょうど今と同じようにこの石の所までやって来て、わたしはその上に腰をかけました。すると、空には紙鳶《たこ》がどっさり上がっていて、ぶんぶんうなったり、ぱたぱた音を立てたりしていました。ちょうど紙鳶《たこ》の時節なものですから。『おい、イリューシャ、おれたちもひとつ去年の紙鳶《たこ》を上げようじゃないか。お父さんが繕ってやるよ。いったい、おまえ、どこにしまったんだえ?』と聞きましたが、あれはやはり黙って、そっぽを向きながら、わたしに横顔を見せて立っているんでございますよ。そのとき、疾風《はやて》が吹いて来まして、砂を吹
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