、せかせかして、いらだたしそうであった。たった今、飲んだということははっきりしているが、けっして酔っ払ってはいなかった。その顔は何かしら、非常に高慢な様子と、それと同時に、――奇妙なことであるが、――いかにも臆病らしい色を浮かべていた。長いこと忍んで仕えていた人が、急に奮然と立って気骨を示そうとしている人のようなところがあった。もっと適切にいうと、相手をなぐりつけたくてたまらないのに、相手の者からなぐりつけられはしまいかと、極度に恐れている人のようであった。彼のことばにも、かなり鋭い声の調子にも、何かしらキ印《じるし》らしいユーモアがあって、意地悪そうになったり、ときには待ちきれないで、びくびくしているように、しどろもどろになったりした。『この内』のことで質問を放ったとき、彼は全身を震わせながら、眼を回してアリョーシャのほうへぴったり食いつくように飛びついたので、こちらは思わず機械的に、一歩あとへ引きさがったくらいであった。
彼は非常に粗末な、南京木綿《ナンキンもめん》か何かの地味な服を着ていたが、それはつぎはぎだらけで、しみがいっぱいついていた。ズボンはすっかり流行おくれの、思いき
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