部屋を出る気にはどうしてもなれなかったのである。しかし、ホフラーコワ夫人はその手を押えて、自分で部屋の外へ連れ出した。玄関へ来たとき、夫人はまたもやさっきと同じように立ち止まらせた。
「ずいぶん高慢な人ですわね、自分で自分と闘ってるんです。でも、ほれぼれするような、親切な、肚の大きい方ですわ」夫人は半ばささやくような声で、感きわまったかのように言った。「おおわたしはあの人が大好きです、ときには、たまらないくらいに、……わたしはいま、何から何まで嬉しいんですの! アレクセイさん、あなたは御存じないでしょうが、実はわたしたちはみんなで、――わたしと、あの人の伯母さん二人と、――それにリーズまでが仲間にはいって、この一月のあいだある一つのことばかり、願ったり祈ったりしてるんですの。というのは、あの人が、あなたの大好きなドミトリイさんを思いきって、あの教育のある、立派な青年のイワンさんと結婚しますようにってね、……だって、ドミトリイ兄さんのほうは、あの人なんか見るのもいやだといわないばかりだのに、イワンさんは世界じゅうの何よりも、あの人を愛してらっしゃるんですものね、わたしたちはこれについてい
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