は告訴してくれないようにと、示談のための賠償金ではありません(だって、その人は本当に告訴するつもりだった風ですもの)。ほんの同情のしるしなんですの、補助のつもりにすぎないんですもの。そして名義はわたしですよ、わたしですよ、ドミトリイの許嫁《いいなずけ》の妻ですよ、けっしてあの人自身じゃありません。とにかく、あなたのお腕前におまかせしますから……わたしが自分で行ったらいいんですけれど、あなたのほうがずっとじょうずにまとめてくださるに違いないんですもの。あの人はね、湖水通りの、カルムィコワという町人の持ち家に住んでらっしゃるのです、……後生ですから、アレクセイさん、どうかわたしのためにこの役目を果たしてくださいまし。ところで、今、……今わたしは少々疲れましたわ。じゃ、これでおいとまいたします……」
彼女は不意に身をかわして、またもや帳《とばり》のかげに隠れてしまったので、アリョーシャは、口がききたくてたまらなかったが、一言も口をきく余裕がなかった。彼は自分で自分の罪を責めて謝罪をするか、……まあ、何にもせよ、一口でも物を言わずにはいられなかった。彼は胸がいっぱいになっていたので、このまま
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