ゥなすったのに……」
「違いますのよ、お嬢様、あたし、なんにもお約束なんかしませんわ」と、やはり嬉しそうな無邪気な表情をしたまま、静かにすらすらとグルーシェンカがさえぎった、「そうらね、これでおわかりになったでしょう、お嬢様。あたし、あなたに比べたら、こんなに恥知らずな、気ままな女なんですからね、あたし、こうしようと思うとすぐそのとおりにしてしまう性分なんですの。さっきはほんとに何かお約束をしたかもしれませんけど、今また、ようく考えてみますと、急にまた、あの人が好きになるかもしれませんわ、あのミーチャが、――前にだって、あの人が好きになったことがありますのよ、まる一時間ぐらい気に入ってたことがありますわ。だから、これから帰って行って、今日から家に落ち着いてしまいなさいって、あの人に言わないとも限りませんわ……ね、あたしこんなに気の変わりやすい女ですの……」
「さっきおっしゃったことは……なんだかまるきり違っていましたわ……」カテリーナ・イワーノヴナはやっとこれだけのことをつぶやいた。
「ええ、さっきはね! あたし気の弱いばかな女ですから、あの人がこのあたしのために、どんな苦労をしたかと
前へ
次へ
全844ページ中441ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング