髏ツ春の美も、三十という年配になれば、その調和は失われ、そろそろ下り坂になって、顔の皮膚はたるみ、眼のまわりや額にはいちはやく小皺《こじわ》が寄って、みずみずしさのない赤ら顔になってしまうであろう、――結局、それは、ロシア人に特有な稲妻のようにはかないつかの間のものだというのである。もとより、アリョーシャはそんなことを考えていたわけではなかった。彼はほとんど、うっとりさせられていたくらいであるが、しかも心のなかでは、この女はどうしてあんなにことばを引き伸ばしたりして、自然な物の言い方ができないのだろうと、妙に不愉快な感じを覚えながら、なんとはなしに、残念なような気持で、自分で自分に問いかけてみるのであった。彼女がそんなことをするのは、明らかに、そういうぐあいに、ことばや音声を引き伸ばして、いやに甘ったるい調子をつけるのを、美しい話術だと心得てのしぐさであった。もちろん、それは、ただ悪い習慣であって、彼女の育ちの卑しいことと、幼いころからしみこんでいる礼儀作法に対する俗悪な観念を立証するだけのことであった。それにしても、アリョーシャにはその俗な発声と語調の抑揚とは、子供らしく天真爛漫な嬉
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