サの眼からほうり落ちるのであった。
「僕はあなたに、たった今、兄と父とのあいだに起こった出来事を、お話ししなければなりません」とアリョーシャのほうも、やはり声を震わせながら言った。そして彼は先刻の騒動を残らず物語った。金の無心にやられたこと、そこへ兄が飛びこんで来て父をなぐったこと、そのあとで兄が特別にもう一度『よろしく』ということづてに念を押したことなどを物語ったのである……「兄さんはそれからあの女《ひと》のところへ行きました……」と彼は低い声でつけ足した。
「まあ、あなたはわたしがあの女《かた》を大目に見てゆけないとでも思ってらっしゃるの? あの人もやはり、そう思ってるのでしょうか? けれど、兄さんはあの女《かた》と結婚なんかしませんよ。」不意に彼女は神経的に笑いだした。「だって、カラマゾフが、いつまでもあんな情欲に燃えることができるものですか! ええ、あれは情欲というもので、けっして愛じゃありません、兄さんはけっして結婚なんかしませんよ、だってあの女《かた》がお嫁になりませんもの……」と、突然またカテリーナ・イワーノヴナは奇妙な薄笑いを漏らした。
「でも、兄は結婚するかもしれませ
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