オているらしかったが、突然、その顔に激しい興奮の色が浮かんだ。
「アリョーシャ」と、彼は不安そうにささやいた。「イワンはどこにおる?」
「庭ですよ、頭が痛むんだそうです、あの人が僕らの見張りをしていてくれるんです」
「鏡を取ってくれ、そら、そこに立ててある」
アリョーシャは、箪笥《たんす》の上に立ててある、小さな丸い組み合わせ鏡を父に渡した。老人はしきりにそれをのぞきこんだ。鼻がだいぶひどく腫《は》れあがり、額には、左の眉《まゆ》の辺にかなり目立って紫色の皮下出血ができていた。
「イワンはなんと言っとる? アリョーシャ、わしのたった一人の息子や、わしはイワンが恐ろしい、わしはあいつより、イワンのほうが恐ろしいのだ、わしにこわくないのは、ただおまえだけだよ」
「イワン兄さんだってこわがることはありませんよ、イワン兄さんは腹を立てているけれど、お父さんを守ってくれますよ」
「アリョーシャ、それで、あいつはどうしたんだ? グルーシェンカのとこへ飛んで行ったのか! なあ、可愛い天使、ほんとのことを言ってくれ、さっきグルーシェンカはここへ来なかったのかい?」
「誰も見かけた者がないのです、あれ
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