よ、例外があったところで、広い世界じゅうに一人か、多くて二人くらいなもんでしょうて。それもどこかエジプトあたりの砂漠の中で、こっそり隠遁《いんとん》しているでしょうから、とてもそんな人は見つかりっこありませんよ、もしそうだとして、それ以外の人がみんな不信心者だとしたら、あれほど万人に知れ渡ったお慈悲深い御心の神様が、その砂漠にいる二人の隠者を除けた他の、全世界の人間を、ことごとくおのろいになって、一人もお許しにはならないでしょうか? こんなわけですから、いったん神様を疑ったとしたところで、悔恨の涙さえ流したら許していただけるだろうと、わたしは信じているのですよ」
「おっと待った!」とフョードル・パーヴロヴィッチはすっかり有頂天になって、金切り声で叫んだ。
「じゃあ、その、山を動かすことのできる人間が、とにかく二人だけはあるとおまえは考えるんだな? イワン、そこんとこをよく覚えて書き留めといてくれ、実にロシア人の面目躍如たりだ!」
「ええ、お父さんのおっしゃるとおりです、これは宗教上の国民的な特質ですよ」と、わが意を得たりというような微笑を浮かべて、イワン・フョードロヴィッチは同意した。
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