もこう言ってあるじゃありませんか、人がもしほんの小さな、芥子粒《けしつぶ》の信仰でも持っておれば、山に向かって海へはいれと言えば、山はその最初の命令とともに、猶予なく海へはいって行くってね、どうですかねグリゴリイ・ワシーリエヴィッチ、わたしが不信心者で、あなたがひっきりなしにがみがみわたしをどなりつけなさるほど、立派な信仰を持っていらっしゃるとしたら、ためしに一つ、あの山に向かって、命令して御覧なさいよ、海へとまで言わなくても(なにしろここからじゃ海まではだいぶ道のりがありますからね、)せめて、つい庭の外に流れている、あの臭い溝でもよござんすよ、そうすればすぐに、あなたがどれほどどなってみなすったところで、何一つびくともしないで、そっくり元のままでいることは御自分でおわかりになりますよ、これはつまり、あなたが本当の意味の信仰を持ってもいないくせになんぞといえば、他人を悪口していなさるだけだってことになりますよ、グリゴリイ・ワシーリエヴィッチ、しかし考えてみれば、これはあなただけじゃありません、今の時世で身分の上下を問わず、山を海の中へ押しこかすことのできるような人は一人だってありません
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