が、そんなことはけっしてあるはずがありません。それにあんなことを言ったくらいでそんなことになるはずがありません。またあるべきものでもございません――公平に申しまして」と、スメルジャコフはいこじになって答えた。
「公平に申しましてというのは何のことだい?」膝《ひざ》でアリョーシャを小突きながら、フョードル・パーヴロヴィッチはなおいっそうおもしろそうに叫んだ。
「畜生です。それだけのやつです!」とグリゴリイが、突然、口走った。彼は憎々しげに、ひたとスメルジャコフの顔を見すえた。
「畜生だなどとおっしゃることは少々お待ちください、グリゴリイ・ワシーリエヴィッチ」とスメルジャコフは落ち着いた控え目な調子で口答えをした。「それより、自分でもよく考えて御覧なさい、もしわたしがキリスト教徒の敵の手に捕えられて、神の御名をのろい、自分の洗礼を否定せよと強いられたとしましたら、わたしはこの、自分の考えどおり行動する権利を持っているのです。そうしたからとて罪などになるはずがないからです」
「そのことならもうさっき言ったじゃないか、駄法螺《だぼら》ばかり吹いていないで、証拠を言ってみろ!」とフョードル・パー
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